コラム - 『社会的ひきこもり』についてA


ひきこもっているご本人にとって、人との関りはご家族が中心となることがほとんどです。人とのつながりが極端に減っているとき、身近にいるご家族の対応や態度は、ご本人にとって大変大きな意味をもっています。こ本人の状況を理解し、手助けできるのは、最初はご家族といってよいでしょう。
 
【原因さがしをしない!】
まず、ひきこもった原因を探すのをやめましょう。ひきこもりはさまぎまな要因がからみあっておこる現象です。「過保護だった」とか「放任しすぎた」など、自分を責めて後悔したり、夫婦や親子で責任を押し付けあったりする「原因さがし」「犯人さがし」にエネルギーを費やさないようにしましょう。大切なのは「今」、「これから」です。
 
【リラックスできる環境づくり!】
いろいろと悩み、葛藤を抱えているご本人にとって、ご家族の何気ない一言が思いがけず、こ本人を一層傷つけることになったり、人への不信感を募らせてしまうこともあります。言葉でご本人を変えようとするのではなく、まず、ご本人の状況の苦しさを心にとめてあげてください。そして、適度な距離をとって、リラックスし、安心して過ごせる環境を家庭の中につくることから始めましょう。
 
【自分の生活を楽しむこと!】
ひきこもりの問題は、ご本人だけでなく、ご家族をも巻き込んで影響を与えます。家族自身も疲労困憊し、気持ちの面でも活動の面でも社会から孤立してしまいがちです。このようにご家族が疲れた状態で、ご本人を支援することは大変なことです。また、心配するあまり、ご本人の言動に振り回されることは、ご家族自身の柔軟さを妨げます。また、ともすれば家族間のコミュニケーションもぎくしゃくしがちになります。このような家庭内の緊張が強い状態は、ご本人にとってもご家族にとっても大変辛いものです。
ご本人がリラックスできる環境をつくるためには、ご家族自身がリラックスすることを考えて、ご家族それぞれが自分の生活をしっかり確保し、生活を楽しむことが大切です。
ご本人が苦しんでいるのに、自分が楽しむのは気がひける、と思われるかもしれませんが、ご家族自身が社会から孤立するといろいろな情報が遮断されて、家庭内が行き詰まった感じになりがちです。むしろご家族が積極的に外にでて生活を楽しむことで、家の風通しをよくしましょう。そのうち様々な選択肢があることがご本人にも伝わり、解決の糸口につながるかもしれません。



ひきこもりはご本人の問題ではありますが、その問題を何とかしようと考えているご家族自身も強いストレスにさらされている状態です。また、世間の目が気になりひきこもりを隠そうとしたり、他の誰にも相談せず解決しようとすることで、困難をご家族だけで抱え込んでしまいがちです。
しかし、何の介入もなされなければ、社会的ひきこもりからの回復は難しいもの。まずご家族だけでも、他の人や専門家に相談してみてください。本人は外に出たがらないかもしれませんが、ご家族だけで家族教室や家族会へ行くだけでも効果があります。孤立していた家族が社会との接点を持つだけで、ひきこもり悪循環の一角が崩れ、解消への糸口ヘつながるかもしれません。



ひきこもりの背景には病気が関係していることもあります。周囲のことが非常に気になって怖くなって外出できなくなったり、ひどく落ち込んで、ゆううつで何もする気が起きなくなったりするとき、その背景に何らかの病気があることがあります。
病気かどうかをご本人やご家族が判断するのはとても難しいのですが、ひどい落ち込み、苛立ち、周囲への過敏さなどが見られ、ご本人も自分ではどうにもできない、でも辛いと感じている場合には、一度精神科や心療内科などの医療機関を受診することをお勧めします。ご本人の調子が悪くて受診が難しい場合には、岩手県精神保健福祉センターや各保健所の精神保健福祉相談を利用し、その後の対応を考えていきましょう。



【精神保健福祉センター】
精神的な病気や心の不健康について、電話や面援でのご相談をお受けしています。ご家族を対象とした家族教室も開いています。
 
【保健所】
精神保健相談では、精神的な病気についてご相談をお受けしています。また、本人の受診が必要な場合など、受診促進のための支援をしています。
 
【市町村】
市町村は健康相談の窓口でもあります。保健課や保健センターでは保健師などによる健康相談を行っております。
 
【医療機関】
病気が疑われる場合などに、医学的なアプローチをします。症状に応じて薬物療法や精神療法など、本人にあった診療・治療をします。
 
【その他】
民間の相談機関として、NPO法人や個人で開設しているところまで、そのあり方は多様です。椙談機関により受け付けている相談内容や対象、相談形態、相談料金などが異なるため、詳細な情報については直接問い合わせることが重要です。


岩手県福祉総合相談センター(岩手県精神保健福祉センター)
〒020-0015盛岡市本町通3丁目19-l
TEL019-629-9617・FAX019-629-9619
こころの電話(月曜〜金曜・祝祭日除く)
(受付時間)9:00〜16:30・TELO19-622-6955                 このページの最初に戻る